『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』と考える手紙のこれから
遅ればせながら、最近になって『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を見た。
評判通りの名作ぷりだった。
拙文ですが、ご興味ある方は!(^^)!
見終わって思った。
「よし、手紙を書こう!」
たぶん、これは僕だけじゃないはず。
そして、「でも、誰に?便箋と封筒は?C.H郵便社に依頼するか。いや、あれはアニメの中の話で・・・」という具合に結局書かなかった。
これも僕だけじゃないはず。
つまり、手紙を書くことは身近ではないという事実。
そういえば、手紙を最後に書いたのはいつだ。
確か、彼女の誕生日に書いたはず。2月だったからかれこれ半年、手紙を書いていない。
手紙に関する市場調査
世間の皆さんは、どれくらいの頻度で手紙を書くのかを調べてみる。
2017年にKUMONが30~50代を対象に実施したアンケート結果では、「書いたことがない」と「3年以上書いていない」で過半数を超える。
若い世代を対象に、5年経った今取ったらもっと「手紙離れ」がハッキリと示されそう。
「半年の自分はまだましか・・」と少しホッとする。
問題提起
ここで、あたり前のように出てくる疑問。
このままだと手紙滅びるんじゃないか問題。
ここ数年、年賀状も出さない人が増えてきたと聞く。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』では感動したが、時代の波とともに手紙文化が滅びるのではないか、と危惧し始める。
手紙に関わる業界調査
まずは、手紙・紙業界の衰退ぶりを調査。
この数年、紙全般の需要が落ちているのは周知の事実。
文房具業界の動向は、ほぼ横ばい。
手紙に関係のないものも含まれているので、この情報からでは手紙が増えている/減っている/変わらないと結論づけることはできない。
業界動向からは手紙文化の衰勢ぶりは分からないので、社会情勢から手紙文化の今後を予測してみる。
向かい風要因
ペーパレス・DX化
東京都が毎月更新しているペーパーレス・FAXレス等の各取組に関する進捗状況を見ると、着実にペーパレス化は進んでいるようだ。
あくまで局地的なデータではあるが、少なからず日本全体の概況を反映しているだろう。
追い風要因
高齢化
「高齢者ほど手紙をよく書く傾向にある」というピンポイントの情報は得られなかったが、手紙の対抗勢力としてのSNSの高齢者の利用率は依然半数を下回る。
「SNSをやらない=手紙を書く」と一概には言えないが、スマホ至上主義の若い世代よりも手紙文化の担い手は高齢者だと考えられそう。
だが、よく考えれば高齢化は一時的な追い上げ要因にはならない。
なぜなら、今の50代は日常的にSNSを利用する世代。
その世代が20年経って高齢者になったとき、いきなりSNSから手紙に切り替えるとは考えにくいからだ。
一度便利なものに慣れたら、より不便なものに逆戻りしないというのは人間の性。
ということで、手紙文化が活況になるかもしれないのはこの先20年ぐらいと考えるのが妥当か。
手紙が持つ良さ
時代の流れを考えると、手紙が衰退するのは避けられそうにない。
だが、手紙にしかない本質的な良さがあることを忘れてはいけない。
『ヴァイオレット・ガーデン』から引用すると、
手紙とはそもそも人の心を伝えるもの。
手紙だと、伝えられるのです。素直に言えない心の内も、伝えられるのです
文字を書くことは状態復帰に良い
作中では、家族や恋人など身近な存在に手紙を書いている。
面と向かって伝えるのは恥ずかしい。だけど、手紙なら素直になれる。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のメインテーマである「愛している」という言葉も、メールやSNSで伝えるには少し軽い感じがする。
だから、誕生日や記念日などの特別な機会に手紙で伝える。
「素直さ」「重み」の2点は、メールだけが持つ良さだと言えるだろう。
手紙の新しい形
手紙を書くという行為は減っていくだろうが、代筆業はむしろ増えるかもしれない。
代筆業の市場規模を示すデータはなかったが、「手紙 代筆」でGoogle検索すると30万以上の検索結果が得られる。
また、手紙を書くことを家事と考える一部の人にとっては、代行ニーズは増加する一方だ。
結論
手紙文化は衰退はするが、決して滅びない。
根拠:
- 手紙だけが持つ良さは変わらないから。
- 高齢化による代行ニーズの高まりに伴い、代筆業が伸びる可能性があるから。
くだらない私的レポートにお付き合いいただき、ありがとうございました。
補足
手紙を書く人も、そうでない人も、こちらの名作は是非見ていただきたい!