元コンサル現アニメ好きが考える!どうすれば、遊園地は生き残れるか?
エキスポランド(2009)
スペースランド(2017)
としまえん(2020)
遊園地の閉園ラッシュが止まらない。
いまや遊園地は、「非日常を与える夢の空間」ではなく、「寂れた過去の遺物」という印象がある。
一方、ディズニーランドやUSJなどを見れば分かるが、テーマパークはコロナを乗り越えますます絶好調だ。
「オワコン」の代名詞になりつつある、遊園地は死にゆく日を待つしかないのか?
いや、そんなことはない!
今回は、遊園地が生き残るための方策を考えようと思う。
生き残りのカギは、外部コンテンツ
さっそく結論だが、遊園地が生き残るカギは「外部コンテンツ」にある。
外部コンテンツとは、遊園地の外にあるコンテンツ。
これまでの遊園地は、アトラクションやプールなどの内部コンテンツで稼いできた。
もちろん、そうした遊園地にしかない施設は必要だ。
だが、遊び場を提供するだけでは生き残ることはできない。
例えば、遊園地の再建を描く『甘城ブリリアントパーク』での戦略。
(宣伝動画)
(プール)
これらの経営戦略は、どれも内部コンテンツに頼ったものばかり。
これはビジネス的には悪手と言うしかない。
花やしきVSとしまえん
では、現実世界での例を見てみよう。
どちらも歴史のある、アクセスの良い都心に存在する(した)遊園地。
としまえん | 花やしき | |
開園 | 1926年 | 1853年 |
敷地面積 |
220,000m2 | 5,800m2 |
都心(新宿)からのアクセス | 35分 | 40分 |
入園料 | 1,000円 | 1,000円 |
メイン施設 | プール | ローラーコースターなど |
プールを複数抱えているだけあって、敷地面積は倍以上の違いがあるが、それ以外の外部条件はほぼ同じ。
しかし、両者は真逆の生き残り戦略を取る。
最期までプール頼みのとしまえん
「としまえんと言えばプール」と認知されるほどの代表的なアトラクション。
1965年に開業した流れるプールは、世界初。
以降も、飛び込み用や水上アスレチック施設など、数々のプール施設の充実を図ってきた。
閉園後、「プールだけは残してほしい」という署名が12,000以上も集まるほど、夏の風物詩として愛されていたことが分かる。
しかし、維持費がかかる割に利用料を高く設定できない施設を目玉に選んだとしまえん。
公共施設的な位置づけのプールという内部コンテンツ頼みになっていたのが、最終的に50万円しか利益が残らない薄利商売に導いてしまった。
アニメコラボ花やしき
園の外のコンテンツを集客ツールとして活用するのが、花やしき。
これまでコラボしてきたコンテンツは、どれも人気のある漫画・アニメ作品ばかり。
単に人気コンテンツに乗っかるだけでなく、作品と相性の良い年中行事を掛け合わせている点がビジネスセンスが伺える。
「としまえんに行けば、好きな作品とのコラボが見れる+季節のイベントも味わえる」
来園者からすれば、一石二鳥の戦略を取り入れている。
「映える」かどうか?
遊園地やテーマパークを訪れる人たちの楽しみ方は、変化している。
以前は、アトラクションや遊具で遊ぶということに重きを置いていた。
しかし、若者を中心にSNSで「映える」かどうか、に重きを置く。
そうしたユーザーの変化に順応しているのが、USJ。
例えば、こちらのサメ人間。
2022年春から販売を開始したカチューシャ。
当時はグッズ市場でゆるく擬人化したものが話題になっていた。
そこで、人気アトラクション「ジョーズ」の関連グッズとして、アート部門が開発。
「シュールかわいい」をコンセプトにした通称「サメ人間」は、シュールで面白いだけ
ではなく、見ているとどんどん愛着が湧く不思議なデザインになっている。
グレーを基調としたカラーのため、普段のコーデにもよく似合う。
こうした「映える」戦略は、巨大な資本を持つテーマパークにしかできないことではない。
先ほど紹介した老舗遊園地「としまえん」の積極的なアニメコラボは、「映える」という現代のユーザー心理をしっかりと押さえている。
「遊園地」という古き良き文化を残すために
日本では、行動規制がなくなりコロナが終焉に向かっている雰囲気が漂う。
しかし、約3年のコロナ禍で、消費者はハードよりもソフトにお金を使うことが定着してしまった。
これまでのようにアトラクションや遊具などの「ハードコンテンツ」に頼っていては、遊園地は生き残ることはできない。
アニメや漫画など、社会現象を起こすコンテンツは毎年のように出てくる。
そうした外部コンテンツを積極的に取り込み付加価値に変えていく。
遊園地という日本の古き良き文化を残すために、遊園地を運営者にはビジネス的なアップデートをしていってほしい。