ハード ボイルドとは?アニメと絡めて分かりやすく紹介
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出典:アニメージュプラス
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出典:ヤフーニュース
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出典:PASH!PLUS
大人な雰囲気が漂う作品に登場する「ハードボイルド」。
主役はイケオジで、スーツを着ていて、けだるそうに煙を吸っていて・・・
みたいに、何となくわかっていて何となく分かってない感じ。汗
そこで今回は、「ハードボイルド×アニメ」をテーマに学んでみようと思う。
ハードボイルドとは
まずは、辞書的な説明から。
1930年前後に、アメリカ文学に登場した写実主義の手法。ヘミングウェイやドス・パソスらの、むだな修飾を極度に省き、スピーディーな荒いタッチで事実を積み上げていくスタイルで、転じて「冷酷」や「非情」という文学用語として用いられる。推理小説では一つの流派をさし、それに関連してハードボイルド調の文体という使い方もされる。
意外にも(?)、アメリカ発らしい。
説明の中にある「写実主義」とは、「ありのままを形にしようよ」な考え。
ハードボイルドの起源
言うまでもなく、ハードボイルドの語源は英語の”hard-boiled”。
直訳すると、「固ゆで」。
ゆで卵で表すなら、茹で時間12分以上に当たるのかな?
初めは、卵の茹で加減のみを指していたが、いつからか「固く流動しない様」のような意味を持つようになってきた。
そして、「感情に左右されない」「非情な」のような心理面を指す意味を確立。
文学史的な「ハードボイルド」は、1920年代のアメリカで始まる。
ハードボイルド小説では、以下のような特徴が挙げられる。
- タフで非情な主人公
- 簡潔な客観的行動描写
- 感傷的な表現を排除
という感じ。
文学部出身の自分がおすすめするハードボイルド小説を5冊ほど。
- 『ロング・グッドバイ』著:レイモンド・チャンドラー、訳:村上春樹(320)
- 『老人と海』著:アーネスト・ヘミングウェイ(180)
- 『野獣死すべし』著:大藪春彦(232)
- 『テロリストのパラソル』著:藤原伊織(384)
- 『孤狼の血』著:柚月裕子(464)
()内は、ページ数。
活字アレルギーな人もいると思うので、おすすめの映画も3作ほど。
アニメ×ハードボイルド
本題のアニメに話題を移そう。
小説や映画ほどではないが、アニメでも「ハードボイルド」というジャンルがある程度確立されている。
『サムライチャンプルー』や『ブラックラグーン』など、ダークな世界観の作品が並ぶ。
数あるアニメ作品から、個人的に最も「ハードボイルド」だと思うこちらの作品
サンライズ制作の日本のSFアニメ作品。
1998年からアニメ版(全26話)が、2001年に劇場版『カウボーイビバップ 天国の扉』が公開された。
後に数々の名作を生み出した、監督・渡辺信一郎×音楽・菅野よう子によるタッグ作品。
ここからは以下の、『カウボーイビバップ』のハードボイルド的魅力について紹介。
- 言葉ではなく映像で語る
- 魅力的な主役コンビ
- オヤジに刺さるセリフ
言葉ではなく映像で語る
『カウボーイビバップ』には、背中で語るシーンが随所に確認できる。
特に、冒頭2分間は、ハードボイルド作品の魅力が凝縮されている。
タバコを吸う男の横顔が映し出される。
薄暗い上に、横顔からは表情は読み取れない。
足元には、数本の吸い殻が。
「同じ場所に集まる吸い殻」という情報からは、なかなか足が踏み出せないことが想像できる。
教会の鐘が鳴り響く。
男は、花束らしきものを持っている。
花束から一輪が落ちる。
フラッシュバック的な映像。
先ほどの男がマシンガンをぶちかます。
徐々に、落ちたバラに赤みがさす。
バラに呼応するかのように、映像にも赤みがさす。
そして、男の横顔に戻ってくる。
微かに笑っているように見えるが、そのワケは?
ここまで約2分。
一切言葉は発せられない。
タバコ、バラ、男の表情など、すべてを映像に語らせる。
言わずもがな、これら全てが後の伏線となっている。
魅力的な主役コンビ
やはり、この作品の魅力は主役の2人だろう。
細身の色男風の主人公「スパイク」。
痩身なスパイクとは対照的に禿頭に顎髭の巨漢「ジェット」。
内面も対照的な2人。
飄々としていてめんどくさがり屋の「スパイク」。
几帳面でしっかり者の「ジェット」。
このややデコボココンビは、他のハードボイルドアニメにも共通して見られる。
デコボココンビによるやり取りが、いちいちカッコイイ。
のんきな曲だぜ
なんだ、この洒脱感。
2人の会話だけを収録したCDとかないかな、、、
オヤジに刺さるセリフ
ドンパチが展開されるアクション回はもちろん、スパイクとジュリアの恋愛回、ジェットを主とした硬派回。
様々な顔を持つ『カウボーイビバップ』。
だが、本来のターゲットは「オヤジ」と呼ばれる中年男性。
それを象徴するのが、第16話の次回予告。
さて、次回のカウボーイビバップはハッキリ言って暗い。そして、重い。出てくるのはいい年こいた汗臭い男ばかり。言いたかないが、地味だ。子供は見ない方がいいだろう。女性もよしたほうがいい。それに、若い男も見ない方が賢明だ。次回「ブラック・ドック・セレナーデ」。オヤジだけは見てくれ。
ジャック(声:石塚運昇)による、重厚で落ち着くのある声が染みる。
「媚びない・飾らない・流されない」
まさに、ハードボイルドの3原則を体現したかのような次回予告。
ここで言及したものは、『カウボーイビバップ』の魅力の一部に過ぎない。
基本的に1話完結になっているため、視聴しやすい。
是非、ハードボイルド的な魅力に酔いしれていただきたい!
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要は、ハードボイルドって
最後に、今回の学びをおさらい。
おすすめのハードボイルドアニメ
サムライチャンププルー
渡辺信一郎監督×マングローブ原作・制作によるオリジナルテレビアニメ。
江戸時代の日本を舞台としているものの、チャンプルーの名前通り、随所に現代文化がミックスされた独特の世界観が特徴。
登場人物は「バイト」や「モデル」などのカタカナ語・若者言葉を話し、金髪にピアスの若者やヒューマンビートボクサーが登場するなど、時代考証を無視した時代劇。
これは作品に面白味と新鮮味を出すための演出であり、第一回の冒頭、視聴者に対し「ガタガタ言うな。黙って見やがれ」との監督からのメッセージが送られている。
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91days
朱夏制作によるオリジナルアニメ。
舞台は、法が力を持たず、街はマフィアに支配されていた禁酒法時代。
孤独な生活を送る青年アンジェロは、幼い頃マフィアに家族を殺された、
ある日受け取った一通の手紙を機に、彼の復讐の日々が始まる。