元文学部が厳選！文学的な雰囲気が魅力のアニメ１０選
アニメと文学は別物。
中には、「軽薄なアニメを文学と一緒にするな」という文学好きもいるかもしれない。
だが！
文学的な魅力は、文学作品だけにあらず。
アニメにも、文学的な魅力を持つ作品は数多く存在する。
今回は、元文学部のアニメ好きが「文学的な魅力を持つ１クールアニメ」を１０作品厳選。
文学を読むのはちょっと、、、という方は、アニメで文学してみては？
文学的な雰囲気が漂う１クールアニメ１０選
安達としまむら
思春期を生きる２人の女子高生の日常を描いた作品。
文学的なセリフ回しと繊細な心理描写に魅力を感じ、初めて百合も良いなと思えた想い出深い一作。
ビジュアルからは、萌えアニメを想像するかもしれない。
だが、主人公・しまむらのセリフは、特に文学的な香りが漂う。
人は退屈だ。それは孤独よりずっと辛い、耐えがたい病気だ。わたしを変成していく悪性の病気に対抗する薬は、人との間に生まれる見えないものしかないんだろう。
だから人といることはほんの少し、苦痛を伴う。理解できないこと、面倒なこと、関係のこじれに伴う修復、解体への労力。だけどそうした負の面の隙間に、幸せは転がっている。
以前にだれかが言っていたけど、一人で完成されて生きる人間は、もう人の範疇からははみ出している、らしい。人間という生き物としてのバランスが崩壊しているのだから、別種の生き物と捉えるべきだ、だったかな。
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荒ぶる季節の乙女どもよ。
性への意識に振り回される文芸少女たちの青春を描いた一作。
『あの花』『心が叫びたがってるんだ。』の岡田麿里が脚本を務め、文学的で瑞々しいセリフが魅力。
主要キャラクターは、文芸部に所属する女子高生たち。
第2話「えすいばつ」での性行為をなんと呼ぶのかについての会議。
「サックス」「シックス」「ソックス」などの一般的な意見に加えて、「アンダー・ザ・C」「性戦」「さすまた」などウィットに富んだものが並ぶ。
直接表現を避け、”文学脳”をフル回転させるJKたちに笑いを誘われる。
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イエスタデイをうたって
冬目景の漫画が原作。
当初のタイトル案は、ヒロインの名前から「ハル」だったが、編集部からの変更依頼によって忌野清志郎が率いたロックバンド・RCサクセションの曲より採用した経緯がある。
主人公のリクオは、コンビニでバイトをするフリーター。
彼をを中心に、歳の離れたふたりのヒロイン、個性的で深みのあるサブキャラクターたちが、日常的な問題に直面しながら進む人間ドラマ。
人たらしで、お人好しな主人公。
イラッとさせられる面もあるが、内面の語り方には文学的な魅力を感じる。
本当は”社会のはみ出し者”このフレーズに酔っているだけだ、俺は・・・就職しないのも好きな女に打ち明けないのも、何らかの結果が出て傷つくよりも、結果を曖昧にして自分の体裁を守ってるだけなんだ。
あいつはいつだって前向きだった賢くて凛凛しくて面倒見が良くて…俺はあいつに頭が上がらない半年経った今でもだから好きなのかもしれない
そうか、俺が人物を撮らない理由連続の中の一瞬の輝きを俺はカメラに収める事が出来なかったんだ
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ヴァイオレット・エヴァーガーデン
武器として育てられ、感情を持たないヴァイオレットが、代筆を通して「愛してる」の意味を理解しようとする。
原作は、暁佳奈による小説。
ヴァイオレットを初め、どのキャラクターも名言級のセリフを放つ。
知りたいのです。「あいしてる」を……知りたいのです（ヴァイオレット）
ヴァイオレットだ。成長すればきっと君はその名前にふさわしい女性になる。君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ（ギルベルト）
でも、これから君は、たくさんのことを学ぶよ。だけど、学ばない方が、知らない方が、楽に生きられるかもしれない（クラウディア）
言葉には裏と表があるの。口に出したことがすべてじゃないのよ。人の弱いところね。相手を試すことで自分の存在を確認するの。裏腹よね（カトレア）
良きドールとは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくい上げるもの。あなたは今、その一歩を踏み出したのです（ローダンセ）
奇跡を叶えてくれた彼女に、俺は言った。神様なんていないと思っていたけど、いるなら君のことだろうと（オスカー）
恋は雨上がりのように
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瑞々しさはありながら、渋さや苦みが香る恋愛アニメ。
スカッとする王道な恋愛モノに飽きてしまったアニメ通も納得の、深みのあるセリフや心理描写が見どころ。
中年男性と女子高生の恋愛模様。
爽やかさだけでなく、店長・近藤のセリフが哀愁を生む。
45歳、夢も希望も何もない。ぼくは空っぽの中年だ。
しきりに胸が締め付けられるのは、その若さと純粋さ。そして若くはない自分へのいたたまれなさ。
周りの目だけが理由なんじゃない。何よりおれが傷つきたくないんだ。
君がおれの何を知ってるの？
本当におれは大した人間じゃないんだ……何をやっても中途半端で人に誇れるのは何一つない。橘さんが思うような大人じゃないんだよ。
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クズの本懐
理想の高校生カップルの裏側にある歪んだ純愛を綴った、エロティックなラブストーリー。
ストレートな性描写に加えて、思春期を生きる少女の繊細な心理描写を赤裸々に描いたいろんな意味で忘れらない一作。
ヒロイン・安楽岡花火のセリフからは、思春期に揺れる少女を文学的に表現した魅力が詰まっている。
お互いがお互いの、掛け替えのある…恋人
興味のない人から向けられる好意ほど、気持ちの悪いものってないでしょう？
でもまた、こんなに他人だ お互い何となく隠し事が増えたことを察した
一人は嫌だなぁ…１人ってなんだか空っぽなの。あぁ、誰かと一緒に眠りたいなんて…私はなんて弱くなってしまったんだろう
私たちは本物を探してる。それが簡単に手に入らない事を知っている。どんなに願っても祈っても届かないものかもしれない。今度はもっと傷つくかもしれない。それは私たちをもっと孤独にするかもしれない。だけど求め続ける。
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坂道のアポロン
『カウボーイビバップ』を手掛けた渡辺信一郎と菅野よう子が再びタッグを組んだ話題作。
見どころは、何といっても音楽。
第7話「ナウズ・ザ・タイム」でのセッションシーンは、音楽好き必見の神回！
主人公・薫は、秀才で真面目だが、繊細で人付き合いが苦手。
ある時からストレスで吐く癖がついてしまう。
家庭でも学校でもなじめない男子高校生の、内面描写が実に文学的。
何もかもが嫌だ。朝から照りつけるこの日差しも、何も考えていないこの生徒たちも、今日から毎日わざわざこの急な坂道をのぼらないといけないことも。そのすべてに吐き気がする
俺が嫌いな坂道を軽々と駆け下りる君には、その先に何が見えているのか。それは俺が見たことのない景色なのか
笑えば笑うほど、たまっていた何かが蒸発していく。あたまの中が空っぽになっていく
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少女終末旅行
文明が崩壊した終末世界を旅する少女2人の、どこかほのぼのとした日常を描く。
性格が対照的なユーリとチトの何気ない会話に癒され、時にドキリとさせられる。
ユーリが残り少ない食糧を奪ったことをきっかけに殺し合いがスタート。
こうして人間は争い、戦争を起こすのだろうかと考えさせられる。
他にも、「人生とは何か」「生きるとは何か」など、2人の何気ない日常から人生を生きるヒントが得られるかもしれない。
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魍魎の匣
京極夏彦の長編推理をアニメ化。
八王子で起こった連続バラバラ殺人事件と、「御筥様」を祀る宗教の奇妙な噂、箱型の建物とのつながり・・・、
憑き物落とし・小説家・刑事・探偵が難解な事件を追う本格ミステリー。
彼の語り口は、まさに文学作品にある一節のよう。
四畳半神話大系
四畳半で広がる妄想キャンパスライフ。
平凡な大学生のパラレルな学生生活を「私」という独自の語り口調とシュールな笑いを描く。
物語は、主人公の”私”の語りによって進行する。
長尺で哲学的なワードを含む脚本を、早口で演じ切る声優・浅沼晋太郎の名演は必見。
異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の破棄、肉体の衰弱化など打たんでも良い布石を打ちまくってきたのは、なにゆえであるか
小津は独特の話術でサークル内でも一定の位置を確保することに成功していたがニコニコと天真爛漫に微笑むことに困難を感じているらしくどうしてもにやにやと妖怪めいた笑みになりその腹の中に潜む邪悪さを隠しようもないという印象であった。彼だけは名前と顔が一致していた。むしろ、忘れられなかった
“不毛に過ぎた二年の遅れをがつがつとみっともなく取り返そうとしているような気分になってきた。そんないじましい己の姿は私の美学に反する。したがって私は潔く勉強をあきらめた。こういった潔さには自信がある。つまりは紳士だということだ。
文字起こしをしてみると、単純なことをわざと難しく伝えている感がある。
深そうで浅いと思いきや、やっぱり深い。
そんな考えれば考えるほど、深い沼に吸い込まれるような魅力のある一作。
