きてぃ、どれみ、まりお。アニメキャラを子供に付けるのはアリか?
上の4つの内、いくつ読めるだろうか?
答えは、
左上から「すかい」「ぴかちゅう」「ないと」「まりん」。
いわゆる「キラキラネーム」と呼ばれる名前たち。
仮にも平成生まれの20代だから、ひらがな表記の「まりん」は見たことある。
だが、「ぴかちゅう」には面を食らった。
かく言う自分も、アニメキャラを基に名前を付けられた(らしい)。
ある日離れて暮らす母親に自分の名前の由来を尋ねた。
「たしか、コウスケ(従兄)が当時好きなキャラじゃなかったかな?漢字はおじいちゃんがつけてくれたと思う・・・」
名づけ親が好きだったキャラではなく、従兄!?
かなり雑なつけ方だと思った。
だが、自分の名前には気に入っている。
だから、初対面の人に風変わりな名前の由来を聞かれても、笑い話として話せるぐらいに受け入れている。
ただ、「ピカチュウ」だったらどうだろう?
「それっぽい」漢字があてられていても、今と同じように好きになれるかは分からない。
アニメ作品には、かなり変わった名前のキャラクターが登場する。
現実世界ではまず見られない音や漢字を持った名前も少なくない。
今回は、アニメと名づけについて考えてみようと思う。
誰がつけるのか?
まずは、誰が子供の名前をつけるのか。
当然と言えば当然だが、両親がつけるのが大半という結果に。
名付け親は、何を意識するのか?
では、名付け親たちは何を重視しているのだろうか?
三起商行株式会社が2019年に公開した調査によると、名前をつける際に気を付けることとして「字画」、「キラキラネームではない」、「将来への願い」がトップ3を占める。
前2回での調査で重視された「音の響きが良い」は大きくランクダウン。
「今の親はふざけた名前をつける」という一般的なイメージとは対照的に、「名前で損をしないように」という想いで名前をつける親がほとんどであることが分かる。
ちなみに、こちらが2021年に生まれた子どもにつけられた名前TOP5。
男女ともに漢字一字の名前が人気なようで、「●太郎」や「●●子」といった3文字トレンドは過去のものであることが分かる。
「キラキラネーム」の実態
近年のヒット作と言えば、『鬼滅の刃』が挙げられるだろう。
こちらの記事では、2020年に生まれた子どもにつけられた「鬼滅ネーム(『鬼滅の刃』に登場するキャラを基につけられた名前)」を取り上げている。
「あおい」や「るい」など読みだけもあれば、「琴葉」や「アオイ」のように読みも表記もキャラ通りの2つがある。
対象となる2020年11月の出生数は66,720。
読みのみ「鬼滅ネーム」が270名、表記も「鬼滅ネーム」が18名。
なので、全体に占める「鬼滅ネーム」の割合は、「読みのみ」が0.405%、「読みも表記も」が0.027%。
つまり、「読みのみ」は250人に1人、「読みも表記も」は2万人に1人という確率。
世の中には約15,000作品のアニメがあるとされているが、社会現象となった『鬼滅の刃』でさえこのレベルなので、「どハマリしているアニメキャラを子供につける」親はかなりレアであると言えそう。
そう考えると、まるで「キラキラネーム」が蔓延しているかのようなメディアの報道には問題あると思う。
賛否両論
数が少ないとは言え、親の趣味を押し付けられて苦しんでいる人も存在する。
ある起業家であるインフルエンサーの言葉を借りれば、「読めない名前の子供は遺伝により頭が悪い可能性が高い」。
そうした「頭が悪い可能性が高い」親の被害者を主人公にしたアニメ作品がある。
『サーバントサービス』の主人公は、自分の異常に長い名前は、親が出生届を出した時に事務的に処理した役所の担当者のせいだと考える。
そこで、自分が公務員となり「復讐」を果たすワーキングコメディとなっている。
彼女がつけられた名前は、「喜美子明江愛里史織倫弥由保千帆子綾乃冨美佳千歳早苗美紀子壱花由紀乃麗奈恵利亜衣多美子千景エミリア樹理亜志津江絵里那千紗夢佳夏希蘭々理恵子刹里智香子あずみ満里奈秀子千秋美咲直巳キャンベル未来由加雅子佐知子奈々睦美春香優奈縞子幸恵りん咲良柑那若菜葉月保奈実瑠璃美羽桃華ひまり希美双葉麻友々乃愛麻代…………」。
名前を付けた両親が優柔不断で、他人に勧められた名前を繋げたらこうなったという設定。
もし実際に、この名前が書かれた出生届を見たら、担当者は「異様」に感じるだろう。
なので、彼女が担当者に恨みを覚えるのも不思議ではない。
では、彼女のような被害者を減らすためにできることは何か?
担当者が出生届を受け取る際、「お子さんのお名前は●●でお間違いありませんか?」と聞く。
担当者によっては、既にやっているかもしれない。
だが、実施率100%ではないのが現状だろう。
実際どれくらいの効果があるかは分からないが、「ほんとにこれで良いよね?」と考える機会を作ることは大切。
アニメキャラを名前にするなら慎重に
現実的に、キャラの表記通り名前をする人はごく一部である。
それに「キラキラネーム」自体が問題ではない。
好きなキャラクターと同じだったとしても、想いやストーリーがあれば問題ない。
それに、自分の名前にどんな意味を持たせるのかは、本人次第。
だから、「キラキラネーム」自体が問題なのではなく、「奇をてらいたい」「なんとなく流行ってたから」という発想が問題。
そういう意味では、「定番の名前TOP●●」から取ってきただけ、というつけ方もかなり問題だと思う。