「親の職業を紹介しましょう」授業は廃止すべきか?
『かくしごと』の主人公・後藤可久士は、自身が漫画家であることを娘に隠す。
作中では、姫(主人公の娘)は同級生に父親の仕事について聞かれるシーンがある。
(同級生A)姫ちゃんのお父さん、お仕事何してるの?
(姫)分かんない。けど、働いてるよ。
(同級生B)いけないなんだ。人のパパやママのお仕事聞いちゃいけないって、先生言ってた。
(同級生A)なんでよ~?
個人情報で職業差別につながるからよ!ね?先生
(先生)ええ、無理に聞いちゃいけないわね。
担任がやってきて、この親の仕事についてのやり取りは終了。
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自分が小学校の時、「自分の親に仕事についてインタビューして発表する」という授業があった。
先ほどのやり取りでもあったように、今は無くなってると思うが、、、
当時も薄っすら思っていたが、この授業のやり方には反対だ。
初めに意見を示したうえで、もう少し世間の動きを見てみようと思う。
子どもって親の仕事知ってるの?
そもそも、今の子どもは親がどんな仕事をしているのか、知っているのだろうか。
2021年にコクリコラボが小学生以上の子どもたちを対象に実施した調査では、約8割が「よく知っている/すこし知っている」と回答。
思ったよりちゃんと知っていて驚き。一緒に住んでいれば、子どもと言えども親が何をしているのかは知ってるものなんだな。
ちなみに、親の仕事に関するもので見たことあるものについての調査結果も。
実際に職場で働く様子を見たことがある子どもは、2割にも満たない。だが、コロナ禍のテレワーク導入により、家で仕事をする親の姿を見るようになった家庭も増えたよう。
世間の反応
「親の職業を聞く」授業について、世間の人たち(子どもを持つ親)はどのように考えているのだろうか。
ヤフー知恵袋に、「子供の小学校で親の仕事を紹介しようという授業をした教師は頭がおかしい」という主旨の投稿をしている人がいた。
この投稿には、賛否両論、様々な回答が寄せられた。
賛成/妥協派
- 「個人情報」に違いありませんが,あまり目くじらをたてるのも狭量な気がします・・・・。勤務先や会社名でなく,「仕事」ならよいのでは?
- あなたは自分の仕事に誇りを持てないのでしょうか?或いは恥ずかしいと思うのでしょうか?仕事にかっこいいも恥ずかしいもありません。親が自分の仕事に誇りを持っていきいきと働いていたら子供も恥ずかしい思いはしません。
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守秘義務のある仕事だと難しいですね〜(^_^;)あとたまたま失業していたりすると(実父が時々ふらっと仕事を辞めてきていたので…実母は当時専業主婦でした)無職ですとか言いたくないですしね。その辺は考慮してもらえるんですかね?
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授業に組み込まれてるので、仕方ない部分もあると思います。 ◯◯会社とか実名以外ならしょうがないのでは?
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国語でインタビューのやり方や内容のまとめ方の学習になります。
親との会話時間も出来るので構わないと思います。
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教師としてもそういうカリキュラムなのでやらざるえない状況だと思うので、一教師の事を悪くいうのはやめてあげましょう。
反対派
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地域に取材に行けばいいのです。 何も個人の事を発表しなくても十分授業にはなるのですから。 頭軽いな~、と思いましたよ。 アホじゃないだろうか?
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職業に貴賎はないというのは所詮綺麗事ですから、自分の親の職業を言えない子は居ますよね。
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ないですねぇ。うちは絶対に家のことを外で話すなっていってますよ。 家のことというのは勤め先とかそういう突っ込んだ話のことです。
総論として、「カリキュラムとして時代に合ってないと思うが、仕方ない。と考え、家庭のプライバシーが毀損されない程度に協力する」という親が多い。
自分の親でやる必要ある?
冒頭でも言ったように、「自分の親に聞いて、内容を発表する」スタイルには反対だ。
理由としては、
- この授業の目的が「世の中には色んな職業があって、職業に良い/悪いはない。誰かを支えるために働いている人たちは一様に素晴らしい」なら、自分の親である必要はない
- いわゆる「普通の職業」じゃない親もいる
- 「普通の職業」に就いていない親を持つ=イジメ(それに近い何か)の原因になり得る
- わざわざ授業でやらなくても、自分の親がどんな仕事をしているか、について子どもはある程度理解している
このような意見を持つ自分が提唱するのは、「地域の方に協力してもらう」スタイル。
よく児童が帰る時間帯に、旗を持って横断歩道で見守ってくれるおじさま・おばさま方に、自身がしている(していた)仕事について語ってもらう。
よっぽど特殊な地域でない限り、多様な職業の人たちから話を聞ける。
また、講師となる人たちにとっても、「地域貢献をしたい」という想いを実現することができると思う。見守り隊の多くは、ボランティアによるものだから、手を上げてくれる人は一定数いると思う。
「普段帰り道で送ってくれるおじさん、こんなお仕事してたんだ」と、子どもたちと地域の人たちの交流する機会となる。
学校側も、文科省が決めたカリキュラムをこなさないといけない。
学校で「職業の多様性」「働くことの素晴らしさ」を教えなければならないのであれば、「プライバシー問題」と「地域の結びつきが希薄になっている問題」の両方をクリアできる「地域の方たちを講師に」スタイルでの実施を検討していただきたい。