【ネタバレ注意】OPの歌詞をヒントに『オッドタクシー』の面白さを紐解く。
※この作品はアニメ『オッドタクシー』のネタバレを含みます。
初めに
オッドタクシーを見て約1カ月。
いまだに余韻が残っている。
単に面白いだけでは1カ月も残らない。
残り続ける”何か”があるはず。
本編を繰り返し見ているも、正体はつかめない。
試しにOPの歌詞を眺めてみる。
そこである一節に注目。
混ざり合わない目線の先へ たどり着けるか
”何か”の正体は、”目線”にあるのではないかという仮説を立てる。
オッドタクシー×目線
”目線”という文脈でこの作品を見た時、以下の2つが浮かび上がる。
語り手の”目線”
この作品の最大の仕掛けは、「なぜ、登場人物は動物なのか」。
作中にいくつもの伏線が張られ、最終盤でその謎が解き明かされる。
いわゆる、巧みなミスリーディングによって実態が見えない仕掛けになっている。
まあ、この目線はミステリー作品としては特筆すべき点ではないかも。
装置の”目線”
この作品が”残る”理由は、この2つ目の目線にあると考える。
タイトル通り、この作品の舞台はタクシー。
タクシーを乗ると分かるが、ドライバーと乗客が直接目線を交わすことはない。常にルームミラーを介する。
2つの”ルームミラー”
作中にも、ルームミラー的な装置が2つある。(調べれば)
1つは、スマホ。
今の時代、スマホ越しで繋がることがあたり前。
顔を見たことがない、実際に会ったことがないということも普通。
悪く言えば、実体が掴めない時代。
良く言えば、虚像で勝負できる時代。
ここでは、スマホという”ルームミラー”を駆使しようとするキャラを2人挙げる。
1人は、柿花(サル)。
小戸川・剛力の友人である彼は、マッチングアプリで婚活中。
だが、清掃員であることをそのまま載せても相手にされず、肩書詐称を行う。
ネットに載せる写真は加工して当たり前、認めてもらうためには多少の盛りはあたり前、という考えはスマホ社会の共通認識。
作中でも”盛り”を実施した途端、反応が変わりマッチングが成功する。
このことから、実体よりも虚像でいかに魅せるか、という現代社会への皮肉を感じる。
もう1人は、樺沢(カバ)。
常にバズることを考える就活中の大学生。
就活というリアル社会で認められるよりも、スマホ越しにいる人たちに認められようとする姿は、イイネの数を自分の存在価値だと考える現代人と重なる。
最終話でも、タクシーが空を飛ぶというシーンをスマホに収めることに成功。
どれだけの反応が得られたのかは語られていないが、かなりバズっただろうね。
もう1つの”ルームミラー”的装置は、肩書。
この物語の主人子は、タクシードライバー。
この職業を主人公に設定しているのも、現代社会を生きる人間の偏った目線を映していると言える。
マナー? あんたさぞかし立派なんだな。お客様は神様ってか? 見下してんだろタクシードライバー
この小戸川のセリフは、肩書社会を生きる世相を表してるのではないか。
まとめ
最後に、今回言及した設定・キャラをOPの歌詞に当てはめてみる。
主人公の目に映る世界
掛け違えた記憶
タクシーのルームミラー
混ざり合わない目線
社会の肩書に翻弄されるキャラ(サル、カバ)
街に縁取られた自分
社会的に立場の低い主要キャラ(タクシードライバー、清掃員)
君にとっちゃ所詮ゴミ処理
どうでしょう?
やや強引な気もするが、個人的にはかなりスッキリしたので良しとします。
ご拝読ありがとうございます。